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コレクション: STAGE8

天明奇畧 全 - 翻刻

天明奇畧 全 - ページ 11

ページ: 11

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纔(わずか)の事(こと)にて中〻すくひ遂(とぐ)べき共見へす所持(しよじ) する米穀(べいこく)も大かた与(あた)へ尽(つき)んとするに世間(せけん)の困窮甚(こんきうはなはた) しく他国(たこく)よりは一|粒(りう)も入|来(きた)らす此躰(このてい)にては頓而我〻(やかてわれ〳〵)も 餓死(ぐわし)すべく見(み)へけれは其時(そのとき)に至(いた)り迚(とて)も一|国(こく)の人民(じんみん)を 救(すくは)ん事は千石万石(せんごくまんごく)の米(こめ)にても叶(かの)ふへからずせめては 我家(わかいへ)に年来養(ねんらいやしの)ふ所(ところ)の男女斗(なんによばかり)も救(すく)ふへしと夫より 他(た)人に与(あた)へ救(すく)ふ事を止(やめ)めて終(つい)に弐拾石斗残(にじつこくばかりのこ)りたる 米(こめ)を我(わ)が人数(にんす)の用(よふ)となして居(い)たりしに飢渇(きかつ)の者(もの) 日〻に多(おゝ)くなり食(しよく)を乞(こう)もの山の如(ごと)く出来(いてき)たり 後(のち)には数(す)百人みたりに家(いへ)の内へ押(おし)入て食物(しよくもつ)を 奪(うば)ひ去(さ)る其勢(そのいきお)ひ次第(したい)に募(つの)りて昼夜(ちうや)の差別(さべつ) なく入|来(く)る故食物(ゆへしよくもつ)を奪(うはわ)れては我家内(わかかない)の存命(ぞんめい) 叶(かな)ひかたけれは手勢(てぜい)にて是(これ)を防(ふせ)くに敵(てき)は大|勢(ぜい) なれとも数日飢疲(すしつうへつか)れたる者(もの)ともなれは味方(みかた)壱人して 敵数(てきす)十人を抛(なげ)ちらすされは此|働(はたらき)に昼夜少(ちうやすこ)しの間(ま)も暇(いとま) なけれは食事(しよくじ)もやう〳〵|握(にぎ)り飯(めし)を立(たち)ながら食(しよく)す