みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE8

天明奇畧 全 - 翻刻

天明奇畧 全 - ページ 21

ページ: 21

翻刻

たれは貸借(かしかり)の道(みち)たへて一粒一銭(いちりういつせん)も不|自由(しゆう)の世間(せけん)と なり人の命実(いのちげ)にあやうく見へたりけり此時(このとき)に当(あた)りて 諸国(しよこく)の御領主地頭方各領分(ごりやうしゆじとうがたおの〳〵しやうぶん)の民(たみ)をうやさざらん か為(ため)に穀止(こくどめ)といへる作法(さほう)をきひしく設(もふけ)て他領(たりやう)へとては 穀物(こくもつ)を出さされず夫は白川三春仙臺南部津軽(しらかわみはるせんだいなんぶつがる) 會津米津(あいづよねづほか)及ひ越後国等(ゑちこのくにとう)也|扨(さて)は此|下野常陸(しもつけひたち) すへて関東(くわんとう)八ケ国(こく)ニ至(いたつ)て一同の穀止(こくどめ)となりて只同し 領分限(りやうぶんかぎ)りのみの売買(うりかい)になりしかは何程金銀(なにほどきんぎん)を持し 者(もの)とても他領(たりやう)よりしては穀物(こくもつ)を買取事(かいとること)少しもならす たとへは隣村(りんそん)に親類縁者(しんるいゑんじや)ありといへとも他(た)の領分(りやうぶん) なれは穀物(こくもつ)の取遣(とりや)りは少しもならず其不通用(そのふつうよう)の程(ほど) 察(さつ)すへし扨当御領主(さてとうこりやうしゆ)にては町方の穀屋(こくや)ともか貯(たくわ)へ たりし穀物(こくもつ)の有高(ありたか)を兼(かね)て御|調有(しらべあり)しに日を追(おつ)て 減少(けんしやう)すれば多(おゝ)くの人の命(いのち)を危(あやう)く思召れ売買(うりかひ)に 法(ほう)を御|建(たて)ありて買人(かいて)とも多分(たぶん)の穀物(こくもつ)を一|度(と)に買(かい) 取事(とること)を禁(きん)じ又|米買人(こめかいひと)として穀屋(こくや)へ来(きた)らん者(もの)に