翻刻
春田何某(はるたなにかし)此方を用ひ飢(うへ)をしのき麻布広尾(あざぶひろを)
町|柏屋(かしわや)といへる者|痔疾(ししつ)を病(やみ)て大に便通(べんつうず)る事に
いたくうれいしか是(これ)も此方(このほう)を用ひ数日(すじつ)を過(すこ)し
けるに終(つい)に其|病(やまい)ひいえぬ予かしれる所なり
右|黒豆麻子(くろまめまし)の方量は前にしるし置(おき)たれ共
人数(にんす)の多少(たせう)によりて是に准(じゆんじ)て製(せい)すへし
服(ふく)用の後(のち)一両日も経(へ)て持病続気抔(じひやうしゆくつきなと)ある
ものはかならす少しは発累(はつする)こと有驚(ありおとろ)くへからす
薬毒(やくどく)のなせる所にあらす
松皮製法
松の粉を食することは或禅僧(あるいはぜんそう)の遺法(いほう)にして飢(うへ)を助
くるに甚たよろし是を食すれは痰喀疾癖
胸のいたみ腹瀉(ふくしや)によし久く食すれは人をして無病
長命ならしむ尤|諸薬(しよやく)食物等差合なし皮は雄(お)
松|雌(め)松いつれもよし雄(お)松の老木は最上(さいでう)なり内の
甘皮(あまかわ)は苦(にが)み有外のあら皮を鎌抔(かまなど)にてけつり用ゆへし