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コレクション: STAGE8

天明奇畧 全 - 翻刻

天明奇畧 全 - ページ 5

ページ: 5

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眼(め)なれて格別(かくべつ)に不祥(ふでう)とも覚(おぼ)へず杖(つへ)もて動(うごか)し 見(み)るに火葬(くわそう)せし《ルビ:骨骸|がいこつ》と違(ちか)ひ生骨(いきほね)のことなれは 牙歯等(きばとう)も全(まつた)く備(そなは)り婦人(ふじん)の頭有小児(かしらありせうに)のあたまあり 老人壮者皆夫〻(ろうじんそうしやみなそれ〳〵)に見分(みわけ)ケへく眉肘腕腰股等(まゆひじうてこしもゝとう)の 骨(ほね)の模様逐一委(もやうちくいちくわ)しけれは医(い)の能稽古(よきけいこ)なり同友(どういう)の 丹生(たんせい)にも能(よく)〻見よ抔(なと)すゝめて道(みち)くだり見(み)る事 にはなりぬ猶此外道(なをこのほかみち)の辺(へん)に五丁七丁|程(ほど)ツヽに塚(つか)の形(かた)ち あり未(いま)た年(とし)も重(かさな)らす其(その)上にあやしけなる塔婆(とうば)に 餓死人幾(ぐわしにんいく)百人|埋葬(うめそう)などゝ書付(かきつけ)たりその辺(へん)にも ころ〳〵として有る枯骨(かれこつ)は埋(う)め残(のこせ)せるものと見ゆこれ みな其土地(そのとち)の者(もの)にはあらて飢饉(きゝん)に堪(たへ)かね他国(たこく)に のかれ出て一命(いちめい)をつながんと南部津軽(なんぶつかる)の地(ち)より出 来(きた)るに途中(とちう)にて飢(うへ)て斃(しゝ)たるもの也夫より津軽(つがる) の地(ち)に入りては枯骨(かれこつ)ます〳〵|多(おゝ)く田の中|畑(はた)の上|溝(みぞ)の中 軒(のき)の下|抔(など)に満〻(みち〳〵)て珍(めづ)らしからす通行(つうこう)人は慰(なくさみ)に足(あし) もて蹴転(けころは)しする故折骨(ゆへおれほな)いくらといふ事なし