翻刻
【右丁】
【上段】
おび一 筋(すじ)小袖(こそで)は紅白(かうはく)とて地(ぢ)は何(なに)にても
白(しろ)むく一つ緋(ひ)むく一つ其外(そのほか)かのこおりもの
類何(るいなに)にても分限相応(ぶんげんそうをう)なり何ほとこゝろ
やすきたのみにても帯(をび)は一 筋(すじ)そふるが
本式(ほんしき)なり其(その)のち日をゑらひて婿(むこ)入(いり)ある
べし世俗(せぞく)にはよめいりの後(のち)むこいりする
事ありこれは大(をゝき)にあやまりとしるべし
しかれども下々(しも〳〵)にてはとかく勝手(かつて)のよ
きを第一(だいいち)とすればいかやうになりとも
心にまかせ式法(しきほふ)にかゝわるまじまして相(あい)
性(しやう)などぎんみいらさる事なり女のこゝろ
だてと男(をとこ)のつねの身(み)もちをぎんみす
る事第一なりそのゝちよめの道具(どうぐ)を
むこの方(かた)へおくりてのちよめの輿(こし)をいるゝ
なりよめいりの夜(よ)さま〳〵の法式(ほうしき)ある
ことなりしかれども当代(とうだい)はたゞかんりや
くをもつはらとせりしかし婚礼(こんれい)の座(ざ)つき
【下段】
婿入(むこいり)之(の)図(づ)
【左丁】
【上段】
さかづき事はさして金銀(きん〴〵)のついゑなき
事なれば本式(ほんしき)にありたしまづよめの
輿(こし)いりて待(まち)女郎(ぢよらう)出むかひ化粧(けさう)の間(ま)へとも
なひゆきしばし休息(きうそく)さすべし扨(さて)座敷(さじき)へ
いづるときはよめは主居(しゆゐ)とて下座(げざ)なり
むこは客居(きやくゐ)とて上座 床(とこ)わきに居(すわ)る
なり座(ざ)つきさ三 宝(ほう)に手掛(てかり)のしをいだす
次(つぎ)に引わたしてうしひさげをいだすなり
先(まづ)よめよりさかづきをはじむるなり引わた
しはかわらけ三 枚(まい)むかふにこんぶかちぐり
のしなり此(この)うへのかわらけをよめとりて
一こんうけ一らんくわへ扨(さて)しやく人(にん)くわへに
立さて一こんつぐなりこれにて三こん也
それを婿(むこ)へつかはすむこ同(をな)じく三こん
のみて中のかわらけをとり又三こんのみ
これをよめにつかわすよめ三こんのみて
また下のかわらけをとり三こんのみて
【下段】
婚礼(こんれい)之(の)図(づ)