翻刻
児玉郡榛沢郡の内日中闇のことく昼に行燈を
とぼし往来の旅人提灯を持是浅間の煙り成るゆへ
一同六日朝関八州は不及申信州甲州加賀能登
越中越後出羽奥州迄白き毛降ル三寸五寸或ハ壱尺
余あるもあり昔シ慶安三寅年焼出しふりし事年代記見へたり
一七月別而鳴る事強く大地を動かし戸障子くら〳〵
となり兆民安き思ひを不成其日山ゟ直の方石止る
迄三度押出し鎌原村ニ而も先年の石止り迄なれハ
夫ゟ下へは押出すべくとは思ハず只火石降をいとひ
人々土蔵や岩穴或ハむろ|抔(なと)を心懸しとなり
同七日の晩暮方ゟ上州信州山々嶽々ゟ黒雲浅間山
え布をつるごとく光り物東西え飛人の形のことくなる者
草津しらね万座山えとびしる夥多見し人有り是
天狗の志にいか外道のなす業ならん迚神社ニて祭り
事ありしとなり