翻刻
一切の植物を打潰し闔国大飢饉となりたり千五百三十三年|赫爾勿萋亜(ヘルヘシア)国に大飈暴風ありて同年数 ̄々地震を発せり千四百五十一年意太里亜の南部を翻覆せし地震は其前二箇月の間毫も風なくして淋雨日日打続けり又千五百四十三年意太里亜に発せし地震はそれに先つて猛しき迅飈あり当時の震盪劇しく納波里(ナポリア)に響けりとぞ登時(そのとき)躬親 ̄ラ其景況を目撃せる「ペトラルカ」《割書:人|名》ノ筆
記に此夜の凄 ̄サましき状景実に天地万物一時に消滅して其元行に還るかと疑はれ其惨毒敢て紙筆に尽すへからず唯雷電暴雨海嘯の鳴動地下の震盪を兼たる恐るへき飈風の吼咆するを聞くのみと云へり又地震の間火災を発すること屡 ̄々ありこれ地下の電光、電撃の地上に迸出するなり「カリストテネス」《割書:人|名》曰昔時の都会「ヘリセ」及ひ「ビュリュス」又「バラ」の地陥没する已前に顕はれし