翻刻
頃に在て若し窮理学家卒はかに我れ雷を駆使し
自由に導きて其欲する所の地に降ろしめ
及び能く其道路を教え彼れを制して必ず指
示したる方向に随はしむべしと云ふて其
説を主張せば当世の人皆挙て大に此議を
《ルビ:非-駁|ウツ》するなるへし然るに其後遂に其説の
果して正説たること昭然白日の如くなる
を知り官々俗々共に概して皆避雷線の至当の
理に信服し竟に其法に据て其器を製し設
るに至れりと云へりこゝを以て推せば此
の如き地震を預防する法術も亦発明すべ
きにあらすや抑も雷の越列幾的児気に係る
ことは銅鉄を以て引導すべきを其証とす
蓋し其引導線は凡そ其意の欲する所に随て
雷を地球及び空中に引致すべし今地震の
発するも固より是れと同一なる越列幾的児
気に係れるものなれば其恐るへき見象を
防て同一なる器械《割書:案るに銅|鉄を云》を用ることよ