翻刻
荒されし幾多の都府に命じて深井坑穴を
其周囲に穿たしむべしと決せし由を記せ
り是より已来頗 ̄ル其災害の懼 ̄レを減せりと云
《ルビ:邏瑪|ローマ》人嘗て「カピトール」《割書:邏瑪の城|郭の名》を築きし
時此予備法を用ひしに其一部のみは常に
殆 ̄ント地震の激盪を受ける故に此予防法爾来
次第に其国中に行はれたり一千七百年代
の初 ̄メに発せし劇しき地震の頃「タウリス」《割書:伯|爾》【伯爾のルビ:ペル】
《割書:西亜王|の名》【西亜のルビ:シア】も此変に遇しに《ルビ:伯爾 西亜|ペルシア》人其都府
の周囲に多く深坑大穴を穿たしめしが其
挙果して験ありしにや又は他の事故に由
ることなるやは知るべからされともそれ
よりして地下の振盪漸々に鎮まれりと云
独 ̄リ此深き坑穴のみにて猶既に斯く洪福を
得るものならば其数多の坑穴に夫(カ) ̄ノ越列幾
的児を地上に漏出せしむる銅鉄の引導器
を具へば其大裨益あること果して如何ぞ
や抑 ̄モ此正直なる深き坑穴に一箇の引導器