翻刻
も高(たか)き事を見るべし、此|理(り)は当(まさ)に下(しも)に説(と)くが如
くなるべし、赤道(せきどう)にては日(ひ)地平上(ちへいしやう)にある事、十二
時に過(すぎ)ず、しかるに二至(じし)線(せん)に近(ちか)き地(ち)にては、最(もつと)も
長(なが)き日(ひ)は十三|時半(じはん)あり、此時(このとき)に当(あた)つて日(ひ)其地(そのち)を
直射(ちよくしや)して、其|熱(ねつ)は却(かへ)つて赤道(せきどう)直下(ちよくか)より甚(はなはだ)しきな
るべし
氷原(ひやうげん)
氷原(’ひやうげん)は其|頂(いたゞき)常(つね)に積雪(せきせつ)ある高山(こうざん)の横面(わうめん)に成(な)るも
のなり、温帯(おんたい)寒帯(かんたい)に於て最(もつと)も多(おほ)し、アルプとノル
ウエゲン山(さん)の中間(ちうかん)、及(およ)びグリーンランド、又|極地(きよくち)
の海岸(かいがん)に於て最大(さいだい)なるものを見る○氷原(ひやうげん)は雪(せつ)
線(せん)より遠(とほ)く下(しも)に在て、正(まさ)に林木(りんぼく)田圃(でんぼ)の境(さかい)に接(せつ)す
る事あり、かく大(おほ)いなる氷原(ひやうげん)の生(せう)ずる所以(ゆゑん)は、半(なかば)
は溪谷(けいこく)の広狭(くわうせう)に関(くわん)し、半(なかば)は雪山(せつざん)の大小(だいしやう)に関(くわん)す、○
スウイツェルランドの農夫(のうふ)の云く、痩(やせ)たる雪山(せつざん)は
肥たる氷原を生する能はずと○アルプ山ハフ
ランク山(さん)とチーロル山(さん)の間(あいだ)に在(あつ)て、氷原(ひやうげん)を生(せう)ず
る事四百|余(よ)処(しょ)にして、その長(なが)さ十五|里(り)より、二十