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コレクション: STAGE8

大地震 津涛乃奇談 第二集 - 翻刻

大地震 津涛乃奇談 第二集 - ページ 4

ページ: 4

翻刻

穏(をだや)かになりしかば主人(あるじ)風(ふ)と心付て我(われ)先刻 逃(にげ)いだ すに仏檀(ぶつだん)の本尊(ほんぞん)先祖(せんぞ)よりの位牌(いはい)は持来(もちきた)れども 肝心(かんじん)の伊勢太神宮(いせだいじんぐう)を初(はじめ)とし神棚(かみだな)に納(おさ)めし所の 御祓(をはらい)を失念(しつねん)せり勿体(もつたい)なき事也何は兎(と)もあれ 是(これ)を持来るべしとて地震中(ぢしんちう)ながら船より上(あが)る 息子(むすこ)これを聞て親父(おやぢ)壱人にては覚束(おぼつか)なし我も 共々(とも〴〵)に家に至らんといふ此時 女房(にようばう)も先刻(さきほど)あは てし侭(まゝ)に厠(かはや)にゆく隙(ひま)なく其侭(そのまゝ)に船にのりしが 壱人(ひとり)上(あか)らんも心元(こころもと)なし幸(さいわ)ひの序(ついで)なれば一 所(しよ)に 行(ゆき)たしと続(つゞ)ひて上(あが)らんとするに娘(むすめ)も行度(ゆきたき)よし を申せば下女壱人ふねに残(のこ)さんも心元なしとて 惣々(そう〴〵)打連(うちつれ)一度に船より上り我家(わがや)へ帰(かへ)り主人(あるじ)は 手水(てうづ)をつかひ身(み)を清(きよ)め神(かみ)だなの御祓(おはらい)をおろし 女房娘は厠(かはや)へゆき小用(こよう)などして暫(しばら)く時(とき)を移(うつ)す