翻刻
【右丁】
交(まじ)り咲 各(おの〳〵)いふ所 両義(りやうぎ)とも合(がつ)しぬ仍(よつ)て車
返と号 桜中(あふちう)第一也江戸桜も此桐谷の変(へん)
なりされど桐谷は落花(らくくは)余念(よねん)なく散(ちり)がたの
心よきもの也江戸は花 劣(をと)らねど散(ち)らず枝に
しぼみつく也是桐谷の勝(すぐ)れたりとす活所翁
も桜の第一にして白色(はくしき)微(すこ)し紅(くれなゐ)也 茎(くき)最(もつとも)
長(なが)しといへり又 泉州(せんしう)堺(さかい)慈恩寺(じおんじ)の地内(ぢない)に
【左丁】
車返(くるまがへし)といへる桜あり是は品ならず
○鈍永曰 津国(つのくに)藍村(あいむら)といふ所(ところ)の田(た)の中に
大木一 株(ちう)有花桐谷の八重也 年毎(としごと)に一
重づゝ減(げん)じて咲(さく)八年目毎に一重になる
九年目毎に元(もと)の八重と成也是又八重
一重といふ也 種類(しゆるい)にして同名(とうめい)別物(べつぶつ)也