翻刻
平時(へいじ)の水面(すいめん)より五尺以上十五尺の高(たか)さにまで
至る、其|逆流(ぎやくりう)に遇(あ)ふもの損害(そんがい)を受(うけ)ざるものなし、
○潮水(うしほ)の高(たか)く長(ちょう)ずるは、新月(しんげつ)と満月(まんげつ)の候(こう)にあり
○アマゾン河(か)潮水(うしほ)の長落(ちょうらく)は、その河口(かこう)より五百
里の上流(しやうりう)に在て之を認(みと)むべし、その潮水(うしほ)逆流(ぎゃくりう)の
時(とき)は、舟筏(しうばつ)敢(あへ)て下(くだ)る事|能(あた)はず、故(ゆゑ)に此(この)河(かは)の行程(みちのり)を
云ふに潮(しほ)を以(もつ)てす、譬(たと)へばパラと号(ごう)する地(ち)より
大洋(だいやう)に出(いづ)るまでの行程(みちのり)を三潮(さんてう)の距離(きょり)と云ふが
如し、即(すなは)ち舟筏(しうばつ)潮(しほ)退(しりぞ)く時(とき)に当(あた)つてパラを出(いで)て河(かは)
を下(くだ)り、大洋(たいやう)に出(いづ)るまで、二度(ふたゝび)潮(しほ)の長(てよう)ずるに遇(あ)ふ、
この時(とき)は碇(いかり)を卸(おろ)して駐(とゞま)るべし、また河流(かりう)の間(あいだ)に
潮水(うしほ)の激流(げきりう)せざる地(ち)あり、之を「エスヘラ」と云ふ、
即(すなは)ち休憩地(きうけいち)の義(ぎ)なり、この処(ところ)に於て筏(いかだ)の小(しやう)なる
ものは潮水(うしほ)の変(へん)ずるを待(ま)つべし
河(kあわ)の大小(だいしやう)
河(かわ)の大小(だいしやう)は其|流(ながれ)の長短(ちやうたん)、其|水地(すいち)の広狭(くわうきう)、高崇(こうそう)なる
雪山(せつざん)に相(あひ)連属(れんぞく)する事、及(およ)び気候(きこう)の乾湿(かんしつ)に関係(くわんけい)す、
以上|数事(すうじ)は水流(すいりう)を増長(そうちやう)せしむるものなれば、関(くわん)