翻刻
速度(そくど)を以て、《箱:セ》より起(おこ)つて北方(ほつほう)に進(すゝ)み、温帯(おんたい)の速(そく)
度(ど)の為(ため)に其|道(みち)漸(やうや)く曲(まが)りて、西南風(せいなんふう)と西風(せいふう)とに分(わか)
る、南半球(なんはんきう)にてはまた西南風(せいなんふう)と西風(せいふう)とに分(わか)る、故(ゆゑ)
に北温帯(ほくおんたい)地方(ちはう)は、西南風(せいなんふう)と西風(せいふう)と常(つね)に多(おほ)く、南温(なんおん)
帯(たい)地方(ちはう)は、西北風(せいほくふう)と西風(せいふう)と常(つね)に多(おほ)し、もし南北(なんぼく)両(りやう)
半球(はんきう)同熱(どうねつ)ならば、赤道(せきどう)は南北(なんぼく)恒信風(こうしんふう)の分界(ぶんかい)なる
べししかれども北半球(ほくはんきう)は陸地(りくち)多(おほ)くして、南半球(なんはんきう)
より常(つね)に暖(あたゝ)かなるが故(ゆゑ)、二風(じふう)の界(さかい)赤道(せきどう)の北(きた)に偏(かたよ)る
事、大約(だいやく)三|度半(どはん)なりと云ふ、しかしながら二風(じふう)実(じつ)
に相遇(あひあ)ふとすべからず、何(なん)となれば空気(くうき)の流(なが)れ、
赤道(せきどう)に近づくに随(したが)ひて、愈(いよ〳〵)熱(ねつ)し愈(いよ〳〵)軽(かる)く、其(その)方向(はうこう)自(おのづか)
ら上(うへ)に向(むか)ひ、漸(やうや)く水平(すいへい)の動法(どうはう)を変(へん)し二風(じふう)の間(あいだ)に
別(べつ)に一種(いつしゆ)の風(かぜ)を生(せう)ずればなり此風(このかぜ)は恒信風(こうしんふう)に
比(ひ)すれば、静(しづか)にして且(かつ)方向(はうこう)自在(じざい)なり、大約(たいやく)北緯(ほくゐ)三
度(ど)より十|度(ど)までの地(ち)此風(このかぜ)の界(さかい)とす、之を自在風(じざいふう)
の帯(たい)と号(ごう)す、
定期風(ていきふう)、
インデヤ洋(やう)及(およ)びヒンドスタン全国(ぜんこく)に在てモン