翻刻
かくへこそハ来ける何言隙もなけれは姫君ハ
跡をも見すして逃給ふ行春今ハ心安しと
大太刀をさしかさし大勢か中にかけ入今そ
最後の死くるひさしもの悪とうらさん〳〵に
かけちらされしハらくあしらい見へにけるされ
とも悪とう大勢にて行春を中に取込終に
首を打にけり姫は女の身なれはいまた遠
ハよもゆかしと跡をしたいて追にけるいたハし
や姫君はよもほの〳〵と明ぬれは此辺に
屋かた屋有りと見給へは打節玄官公の家老
門を押ひらき出ける所へ姫君はしり込我ハ旅の
者なるかしさい有て跡ゟ追かけ候也影を隠し
助ケてたへと仰けるそれ〳〵内に入給へしさいは
後にと申てをくに入門押たてゝそ居たりけり
かゝる所へ悪とうとも国主の門に押寄セ只今此
家の内へ十五六成ル女かけ入けり出し給へと申ける
家形の内にハ音もせすしつまりかへり居
たりける悪とう共腹を立今女を出すは