みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE9

鎌先温泉由來記 - 翻刻

鎌先温泉由來記 - ページ 10

ページ: 10

翻刻

○湯主(ゆぬし)の底本宅楷前(にわほんたくかいぜん)にあり天然(てんねん)造(ざう)にして巌山(がんざん) 巍々(ぎ〳〵)として屹立(きつたち)磊石(らいせき)たる凹(こぼか)なる所(ところ)には草木青(さうもくせい) 々(〳〵)として碧(みど)り盛(さかん)なり岩間(いわま)に山道(やまみち)を付(ふ)す其傍(そのかたわら)に 火灯(ひとほし)或(あるひ)は瓦斯(くわす)灯(とう)を点(てん)す又(また)麓(ふもと)に沿(そ)ふて渓水勢流(けいすいせいりう) して池(いけ)に入(い)る池(いけ)には諸(しょ)魚水鳥(きよすいてう)を畜(か)ふ又(また)傍(かたはら)には 清水(せいすい)湧(わ)き出(い)で流(なが)る実(じつ)に被(か)の構造(こうざう)は万金(まんきん)の巨額(こかく) を費(ついや)しと雖(いへ)も人間(にんげん)の築造(ちくぞう)には及(およ)ばざらんや ○公園(こうゑん)の一松温泉(ひとつまつをんせん)浴室(よくしつ)より東(ひがし)に方(あた)り向山(むかふやま)に有(あ) り東(ひかし)下(くた)りは茶畑(はたけ)なり四面(しめん)群山(ぐんさん)の詠(なか)めもよろし き所(ところ)なり ○湯尻(ゆしり)の種蒔(たねまき)桜(さくら)は浴室より東に方り僅(わづか)二丁を 過(すぎ)ず沢端(さわはた)の土提(どて)にあり種(たね)まき頃(ころ)に至(いた)れは能(よ)く 花(はな)開(ひらく)が故(ゆへ)に種蒔桜とは号(なつけ)たり四月頃《ルビ:真盛|まさか》り浴(よく) 客(きやく)も亦(また)むらかりて花見あり ○天狗(てんぐ)角力場(すもうば)は浴室より西北に方りて四五 丁(てう)山(やま)に登(のぼ)りてあり頂上(てうじやう)三四間《ルビ:四方平坦|しほうたいらか》にして 一面(いつめん)に小砂(こすな)を満(みた)して草木(さうもく)生(おい)せず四方《ルビ:松|まつ》と松と の間(あいた)にして実(じつ)に角力場の名(な)空(むな)しからす遠望(えんばう)は 松島湾(まつしまわん)《ルビ:及ヒ|および》金華山(きんくわさん)或は海陸(かいりく)の蒸汽船車(ぜうきせんしや)の通(つう)しる 等(とう)まのあたり見(み)るも頗(すこふ)るよろしき所なり