翻刻
ることあれは必(かならず)是(これ)を恐(をそ)るべし
《箱:第十》
温泉(おんせん)の滝(たき)に打(うた)せて善(よ)き所(ところ)は手(て)の指尖(ゆびさ)き足(あし)の
指尖(ゆびさ)きを弱滝(よわたき)にして打(うた)せべし必(かならず)全体(ぜんたい)上下(しやうか)の
還血(くわんけつ)するが故(ゆへ)に逆上(のぼせ)も頭痛(づつう)も終(つ)ひに除(のぞ)ける
ことのなり又(また)は肩(かた)に腰(こし)たけ少々(しう〳〵)は妨(さまた)けなしと
すれ共(とも)過(すぐ)しべからず
《箱:第十一》
温泉(でゆ)を服用(ふくよう)するには朝夕(てうせき)二回(にど)つゝ|湧口(わきくち)の清(せい)
潔(けつ)なる所(ところ)を酌(くむ)とりて能(よ)き加減(かげん)に醒(さま)して呑(の)む
べし初回(はじまり)の量(ぶんりやう)は凡三夕余|乃至(ないし)ニ合二夕迄を
少量(すこし)より初(はじ)め漸々(だん〳〵)増加(ぞうか)して服用(ふくよう)すべし
《箱:十二》
温泉(おんせん)適当(てきたう)したる浴治法(よくぢはう)には灸(きう)治|又(また)は外用薬(ぐわいようやく)
等(とう)は用(もち)ふるに及(およ)ばさることなり然(しか)れ共(とも)浴治(よくち)
の外(ほか)なる病症(びやうき)へ用(もち)ふる服薬(のみくすり)は敢(あへ)て妨(さまた)けなし
《箱:十三》
湯気(ゆき)にあたり絶倒(ぜつたう)したる人(ひと)ある時(とき)は早(はや)くも
冷水(ひやみつ)を顔(かほ)へ吹(ふき)かけ次(つき)に足(あし)へ数々(かず〳〵)掛(かけ)けべし若(もし)
し之(これ)にて正気(せうき)つかずは惣身(そうしん)へ濯(すゝ)ぎ掛(か)け荒(あら)き