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コレクション: STAGE9

鎌先温泉由來記 - 翻刻

鎌先温泉由來記 - ページ 6

ページ: 6

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腹蔵(ふくぞう)表裏(へうり)に貫徹(くわんてつ)するが故(ゆへ)に其症(そのせい)適度(てきと)するに於(をゐ) ては万病(まんびやう)を治(ぢ)すこと已(すて)に医薬(ゐやく)も及(およ)はざるに似(に) たり病(やまい)ある人(ひと)は言(い)ふまてもなし世(よ)の人(ひと)温泉(おんせん)を 只(たゞ)等閑(なほざり)に思(おも)ふべからず 茲(こゝ)に宮城県(みやぎけん)磐城国(いわきのくに)刈田郡(かりたこほり)白石町(しろいしまち)より西(にし)へ距(へだ)つ 道(みち)一里半(いつりはん)にして福岡村(ふくをかむら)元蔵木村《ルビ:鎌先|かまさき》温泉(をんせん)あり其(その) 縁起(えんき)に言(い)ふ人皇(にんわう)百三代|称光院(しやうくわういん)の御宇(きよう)正長(せうちやう)元(くわん)戊(つちのへ) 申歳(さるのとし)四月八日となん白石(しろいし)の樵夫(せうふ)此山(このやま)に入(い)り偶(ぐう) 渇(かつ)して飲(いん)を求(もと)めんと沢辺(さわべ)に下(くだ)りて鎌を以(もつ)て巌(いわ) の隅(すみ)を少(すこ)し穿(うが)ては則(すなは)ち温泉(をんせん)沸(わ)き出(い)つ流(なが)る人(ひと)試(こゝろ) みに是(これ)に浴(よく)せは諸病(しよびやう)速(すみや)かに愈(い)ゆ故(ゆい)に聞(きく)もの道(みち) を遠(とほ)しとせず来(きた)りて浴(よく)する者(もの)多(おほ)し人(ひと)以(もつ)て天(てん)の 与(あた)ひとし鎌(かま)の先(さき)にて穿(うが)ち得(え)し温泉(おんせん)なればとて 此地(このち)の名称(めいしやう)を鎌先(かまさき)と云(いふ)となん其(その)泉上(せんじやう)に薬師(やくし)の 閣(かく)を建祀(たてまつ)りて則(すなわ)ち地主(ちぬし)神(かみ)とし永(なが)く栄(さか)えんこと を祈(いの)りしが僅(わつか)に二十《ルビ:有|いう》七年を経(へ)て康正(こうせう)元(くわん)乙亥(きのとのい) 歳(とし)の秋(あき)大浸(おほみつ)のため山崩(やまくづ)て石墜(いしを)ち終(つ)へに温泉(おんせん)を 埋(うつ)み絶(た)ひて跡(あと)なし斯(かく)て一百二十五年の青黄(せいわう)を 昜(が)ひて天正(てんしやう)七《ルビ:己卯歳|つちのとのうのとし》に当(あた)り其(その)畔(ほと)りに一(いつ)苾蒭(ひつすう)あ り是(これ)を告(こく)寿(す)山(さん)安全寺(あんぜんじ)と云(い)へり夢(ゆめ)に仏陀(ぶつだ)の瑞奇(ずいき)