翻刻!べらぼう関連資料

コレクション: 曲亭馬琴

北国順礼唄方便 : 3巻 - 翻刻

北国順礼唄方便 : 3巻 - ページ 17

ページ: 17

翻刻

《割書:十一めん|ぎんすの| きやく》《題:三拾三番 みのやたにぐみ》#1 今まではおやとたのみしおゐらんを  をいてわかるゝさとのねんあき#2 善悪(せんあく)無差別(むしやべつ)。鬼仏(きぶつ)原(もと) 一つ体(たい)なり。しやかにだいば 太子(たいし)にもりや花にあらし あつてむじやうをくわんじ 月にむらくもあつて 会者定離(ゑしやぢやうり)とさとる 和尚(おせう)はこれ色中(しきちう)の餓鬼(がき) 婬婦(いんふ)かへつて五 戒(かい)の媒(なかだち)と なる三十三ばん苦海(くがい)の じゆんれいうたは一 時(じ)の ざれことゝいへども恋(こひ)はむじやうの たねぼんのうぼだいのはじ まりなりこれを思ひこれを さとらばみだのほうべん      おのつから此うちに            あるべし 馬琴戯作

現代語訳

《割書:十一面、銀子の客》《題:三十三番 美濃屋谷汲》 今まで親と頼みし老いらんを置いて分かる里の念仏 善悪無差別。鬼仏元一つ体なり。釈迦に提婆、太子に守屋、花に嵐があって無常を観じ、月に村雲があって会者定離と悟る。和尚はこれ色中の餓鬼、淫婦かえって五戒の仲立ちとなる。三十三番苦海の巡礼歌は一時の戯言といえども、恋は無常の種、煩悩菩提の始まりなり。これを思いこれを悟らば、弥陀の方便おのずからこの内にあるべし。 馬琴戯作