翻刻
今日の義務(さうせねばならぬつとめ)といふものである事なり
時計の事に就(つい)て別におしへといふもの
は外になきゆえに時計屋(とけいや)が必らす
こゝろえて居(ゐ)なけれはならぬ時計|製(せい)
造(ざう)の手術(しゆじゆつ)にわたれる其|学問(がくもん)を以て
人〻におしゆる外はなき事なり及ひ
すなはち時計の甲乙(かふをつ)を見わくるに
つけて正(たゝ)しき考(かんか)へをたやすく得(え)さ
せんか為(ため)に而(しか)して時計といえるものは
ひとつ〴〵に種類(しゆるい)が分裂(ぶんれつ)【左ルビ:ワカレル】してみな〳〵
製造(せいさう)の趣(おもむ)きを異(こと)にする及ひ時計を
見る事の極鍛錬(ごくたんれん)なる人に対(たい)して多くら
べみれは丁度(ちやうど)眼(め)かひとつ外なきもの
ほどに違(ちが)ひたる不鍛錬(ふたんれん)なる人は時計
の製造(せいさう)してある中に瑕(きづ)などがかくして
ありてもそれを見顕(みあらは?)し出すちからが
なきゆえ左様(さやう)なる時計|不案内(ふあんない)なる
人に対(たい)して時計|器械(きかい)の組立(くみたて)を為る手
術(じゆつ)の学問(かくもん)を以てみちびかなけれは
ならぬ