翻刻
二ツの時計をくらべてどちらの時計
がよからんと発見(はつけん)するには二ヶ月三ヶ
月の間(あいた)を検査(けんさ)せしくらゐにては二ツの
時計のうちどちらがきつと佳品(よきしな)なら
んといふ事を十分|安心(あんしん)なるこゝろみ
せしとは申(まう)されぬ
時計の器械(きかい)にもちゆべき真鍮(しんちう)及
「ニツケル」はたつて堅牢(かたき)を要(やう)すまた
鋼(はかね)にてつくれる器械(きかい)はもつとも
よく鍛(きた)えねばならぬ
金(かね)をもちて製造(せいさう)なせし時計の器械(きかい)
の組立(くみたて)を為(な)さゝる前の一|部分(ぶゞん)ツヽばら〳〵
になしてある其一まとめの総〻(さう〴〵)の器械(きかい)
を鋼(はかね)に浸(ひた)してよく堅(かた)くならしめねは
ならぬ其器械の一|部分(ぶゞん)なる一種(いつしゆ)ツヽの
すべての部分はよく委(くわ)しく曲(つふ)さにとり
まとめねはならぬ及び成(な)るべきたけは
器械(きかい)と器械の間(あいた)が互(たが)ひに烈(はげ)しくなく
やはらかにすれあひて運動(うんたう)のはたらき
よきをなさしめねばならぬ