翻刻
マイ」にて出(て)来て居(ゐ)る其あしき時計は
すこしの時間(じかん)ならでは運動(うんとう)するを保た
ず而(しか)して時計の器械(きかい)の運動につきて
すれあふ時に烈(はけ)しき音(おと)がするさやう
の烈(はけ)しき音のする時計は果(はた)して度〻(たび〳〵)
の修理(しゆり)を加(くわ)ふるに至(いた)るへししかしその
直(なお)すに至(いた)りては堅固(けんこ)にしかと直しを
加(くわ)ふる事が出来(でき)ぬいかんとなれはあし
き時計に於てひとつの瑕(きづ)を直さんと
すれはまた〳〵外の瑕(きつ)を見出(みいた)す然(さり)ながら
其瑕を愈さんと直しを加ふる事に
於て気がつかぬなり
工合(ぐあい)のあしき時計の第一の所以(わけ)といへ
るものはそれはすなはち成るへきた
けは廉価(やすね)にて時計を需(もとめ)んと欲(ほつ)する
ところの一般(いつはん)の通情(おなしこゝろ)に因(よ)る処なり
時計の技術といへるものは学ぶに於て
ははなはだ手重にむづかしき物なり
其技術に達(たつ)せんと欲(ほつ)するには数年間(すねんかん)の
経験(けいけん)を歴て大ひに勉強(へんきよう)を尽し而して