翻刻
学問(かくもん)の知識(ちしき)の多(おゝ)きを得(う)るによる
時計|職人(しよくにん)の員(かず)が日本のうちには誠(まこと)に
計(かぞ)ふるほどしかあらざるなり及(およ)び日本
人の時計職人の中に於て時計の器
械をこゝろのまゝに取扱(とりあつ)かふ事の十
分出来(ぶんでき)るほど巧者(かうしや)なるものは甚(はなは)た
稀(まれ)である夫(それ)につけて運動の正しき
器械は其器械のうちに於て枢要(すうよう)【左ルビ:カナメ】
なる処の細密(こまか)なる細工は尤|下直(げじき)な
る其|価(あたへ)にも関係(くわんけい)【左ルビ:カヽル】する然(しか)しそれはおど
ろくべきにあらずいかんとなれは其
時計がさやうに一(いち)ばんあしき種類(しゆるい)の
等級(くらゐ)の時計であるゆえに驚(おとろ)くべきに
あらぬなりいかんとなれは日本人は過(くわ)【左ルビ:ヲヽ】
半(はん)【左ルビ:カタ】時計(とけい)をかざり物のごとくにこゝろ
得(え)て居(ゐ)る及び商法物(しやうはふもの)のやうに考(かんか)へて
所持(しよぢ)の時計(とけい)を売(うつ)たり買(かつ)たりする者か
多くある而して時をはかる為に時計
を用(もち)ひぬものもあるなり夫(それ)につきて
前条(ぜんじやう)に説(とけ)るごとき日本人は時計(とけい)の