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コレクション: STAGE9

[時計に関する冊子] - 翻刻

[時計に関する冊子] - ページ 25

ページ: 25

翻刻

尤|出来(でき)のよろしからぬ瑕(きづ)なとあるを隠(かく) すために手細工(てさひく)のほり物をしておく 其上にその彫物がよごれまたは仄(はげ)る 事の勘考(かんがへ)もなしにかやうなる彫物の ある時計を好(この)むものゆえそれは決(けつ)して 買(か)ふまじきものといふ事を意見(いけん)す 前条(まへのくたり)に説(と)きあかす如き人に沢山(たくさん)なる金 を総(すべ)ての買手(かひて)がいつでも費(つい)やす事を ほつせぬかあるひはいつでも払(はら)ふ事が 出来ぬかといふ事を人はよくこゝろ得(え) て居るそれゆえ「アンクル」にて悪(わる)き時計 をやすき直段(ねだん)にて買(か)ふといへる事を やめにせよと心附(こゝろつけ)る然(しか)するよりも「シリン ドル」にていつでも運動のよく連続(れんぞく)する 時計を同し直段にて買ふへしさすれ は金を出したる価(ね)だけの事は眼(め)の前(まへ) にありて其時計の運動(うんとう)はいつにてもよ く連続して違(ちが)はぬ 人が六|円(えん)より八円五拾銭にて売たる「アン クル」の時計は覚束(おぼつか)なき物とおもひなす