翻刻
然(しか)せされは運動(うんとう)中それゆえに錆(さび)を
生(しやう)ずべしさてこの用心(ようじん)なしに旧(もと)の
ごとく十分なる有(あり)さまには掃除(さうじ)する
事|能(あた)ふべからす而(しか)して其|直(なを)しの全(あた)
価(え)も尤|高料(かうれう)にして且(かつ)手重(ておも)なるべし
中蓋(なかふた)に指(ゆび)のあとのつきたるをぬぐはん
などゝて革(かは)切(き)れ毛織(けをり)切れ等(たう)を中蓋(なかふた)
のうへに置(をく)へからずこれをいかゞなれ
は小(ちい)さなるいときれまたは毛(け)きれあるひ
はちりごみなと鍵(かぎ)の穴(あな)より落(おち)入りて
時計の器械が正しき運動(うんとう)を故障(こしやう)【左ルビ:サヽユル】す
べし及ひ二三ヶ月を経(へ)て果(はた)して時
計がとまるものなり
時計を需用(しゆよう)【左ルビ:モトメモチヒ】せんとするにはかならず
下等(かとう)にてひくき価(あたへ)の時計を買(か)ふべ
からず其ゆえいかにとなれは金(かね)を費(ついや)し
こゝろみて然(しか)る後(のち)了解(りやうげ)【左ルビ:サトリワカル】すべし其あら
ましをいへば廉価(やすね)の時計はいつにて
も運動(うんとう)正(ただ)しからずゆえにしば〳〵の直(なほ)
しを下直(けぢき)とおもひあなどり居(お)るほど