翻刻
適宜(てきぎ)によるべし
【一行と三分の一ほど黒塗り】
職(しよく)外の商店(みせ)にて極廉価(ごくやすね)
なる時計のほり出しものをせんと思ひ
て買(か)ひ需(もとむ)る事ははなはたこころえ違(ちがひ)
なる次第(したい)なり夫はかゝる卑劣(ひれつ)【左ルビ:イヤシキ】のわざを
なさんよりは時計(とけい)の本職業(ほんしようはい)なる正しき
時計屋(とけいや)にて殊(こと)に世上の人望を得(え)たる店(みせ)
にて買(か)ひ求(もと?)むる方(ほう)がかへつて買人(かふひと)の即
為(ため)にならぬものなれは即(すな)わちかやうに
こころ附(つけ)する事|然(しか)り
むかし佛朗西国(ふらんすこく)の第(たい)四世の「ヘンリー」とい
える帝王(みかど)に公使(みにすとる)「コルベール」といふ人が
建白(けんばく)せし事を爰に掲示(かゝげしめ)せるなり即(すなわ)ち
其|建言(けんけん)なしたる事といえるは佛朗西政(ふらんすせい)
府(ふ)より免許(めんきよ)を得(え)たるひとつの時計製(とけいせい)
造所(さうしよ)の職人仲間(しよくにんなかま)なる株式(かぶしき)を立(たて)らるゝ
やうになしたきといえる事を時計師(とけいし)
のために公使(こうし)より政府(せいふ)へ申出(まうしで)られたり
それは時計屋(とけいや)といふものは時計(とけい)に付(つき)ての