翻刻
学文(がくもん)《割書:すなわち天文窮|理の学術をいふ》【割書にルビを振ることができません】を勉強(べんきやう)せねはなら
ずまた時計屋(とけいや)といへる名目(めいもく)を持(たもた)んため
及ひ製造(せいざう)せる処の時計(とけい)を公(おほや)けに
専売(せんばい)【左ルビ:モツパラウリサバク】をなさんため検査(けんさ)をうけて
しかるうへでなくては此時計製造所(このとけいせいさうしよ)の
職人仲間(しよくにんなかま)の壱名(いちにん)になられぬといふ掟(をきて)を
たてゝ職人(しよくにん)の学術(がくじゆつ)をはげまさんとせし
公使(こうし)「コルベール」がふかき心意(しんい)【左ルビ:コヽロ】より出たる
願立(ねがひだて)なり
時計には限(かぎ)らずすべての技術(わざ)におけるも
また前條(まへのくだり)の次第(しだい)と同(おな)じかりといへり
其後に至(いた)りて此職人仲間(このしよくにんなかま)といへる事
の廃止(はいし)【左ルビ:ヤメル】せられしより誰(たれ)かれの差別(しやべつ)
なく時計を売捌(うりさば)く事を自由(じゆう)に許(きよ)【左ルビ:ユ】
可(か)【左ルビ:ル】されたる時はじめて買(かひ)に来(き)たる人〻
に数(かず)かぎりなく贋造(にせもの)のよろしからざ
る時計を売(うり)つけたりといふ
法蘭西国(ふらんすこく)におゐてむかしは前條(まへのくだり)の
ごときさま〴〵なる事が暫時(しばし)の間(あいた)は行(おこな)
われしかども方今(いま)に至り時計(とけい)を買(かは)ん