翻刻
《ルビ:外国|くわいこく》の人よりも日本人は《ルビ:時計|とけい》を《ルビ:需|もとむ》
るに《ルビ:多|おゝ》くは《ルビ:人望|ぢんばう》【左ルビ キウケノヨキ】を《ルビ:得|え》たる時計屋を
えらみ《ルビ:求|もと》めに《ルビ:行|ゆく》ことに付て《ルビ:買人|かいて》に《ルビ:与|あたふ》
べき《ルビ:心得方|こころえかた》を《ルビ:示|しめ》す《ルビ:而|しか》して《ルビ:他|た》の《ルビ:国|くに》の人
は《ルビ:多分|おゝかた》《ルビ:時計|とけい》のえらミ《ルビ:方|かた》を《ルビ:今日|こんにち》に《ルビ:於|おい》て
は《ルビ:悉|こと〴〵》く《ルビ:暗知|あんち》【左ルビ:フランシ】して《ルビ:居|お》るなり《ルビ:夫|それ》をいかん
といへる《ルビ:事|こと》を《ルビ:此|こゝ》に《ルビ:発見|はつけん》すへしたとへて
《ルビ:之|これ》をいへば《ルビ:宝玉屋|たまや》または《ルビ:蒔絵物|まきえもの》の《ルビ:商|あき》
《ルビ:人|んと》が《ルビ:最|もつ》とも《ルビ:念入|ねんい》れあるひは《ルビ:甚|はな》はだ《ルビ:粗|あらき》《ルビ:造|つくり》
の《ルビ:品物|しなもの》を《ルビ:売|う》るそれは《ルビ:念|ねん》を入れて《ルビ:製造|せいさう》
せる《ルビ:品柄|しなから》を《ルビ:格別|かくへつ》《ルビ:形容|けいよう》【左ルビ:カタチ】がよくありて
《ルビ:手|て》をぬきてつくりたる《ルビ:品|しな》はかならず
あしきなり
《ルビ:世上|せじやう》の人が《ルビ:気|き》にかなふたる《ルビ:宝玉|ほうきよく》を《ルビ:買|かは》ん
にもし其《ルビ:宝玉|ほうきよく》を《ルビ:買|か》ふ処の人があしく
《ルビ:撰|えら》み《ルビ:損|そこな》ひしたる《ルビ:時|とき》にはそれは不《ルビ:馴|なれ》である
ゆえに《ルビ:彼|かれ》《ルビ:自|みづか》らに《ルビ:誤|あやま》れるなり
《ルビ:夫|それ》とおなし《ルビ:金銀細工|きん〴〵さいく》《ルビ:唐銅細工|からかねさいく》《ルビ:塗物師|べんきし》
《ルビ:彫物師|ほりものし》《ルビ:篆刻師|ゐんばんし》《ルビ:等|とう》におゐてはいつれも
おなしものにして《ルビ:品|しな》の《ルビ:善悪|よしあし》《ルビ:見分|みわけ》かた
【以上、ファブルブラント [編]『[時計]』[http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/bunko08/bunko08_c0457/]も参照】