翻刻
此第四等|無印(むしるし)の時計(とけい)に於ては下等(かとう)の
品柄(しなから)にて工合(ぐあい)よろしからずまた従(したかい)て
代価(だいか)も下直(げじき)なり此時計に於ては必ら
ず買(かいて)人に十分(ちふぶん)なる用(よう)をなさずかな
らずしも打(うち)すてねはならぬ様(やう)に至(いた)る
べし
方今(ほうこん)世人(せじん)を欺(あざ)むくものは惟(これ)なると
いふに「ベルツー」「モワネー」「フレゲー」「ド
ホワー」等(とう)すべて最大(さいたい)【左ルビ:イトオホキ】なる時計師(とけいし)の
評議(へうき)に於ては一|般(はん)に名はかりの時計師(とけいし)
にして本職業(ほんしよくぎやう)にあらざるものゝ所為(しわさ)
なりといへり然(しか)れとも此|名(な)はかりの時(と)
計屋(けいや)に於てはやはり其|品柄(しながら)をしら
ずして世人(せじん)を欺(あさむ)くものなり
世人(せじん)おそらくは此(この)指示(さししめし)を信(しん)ずべし
もしいまだ此|事実(じじつ)世人(せじん)に知(し)れ渡(わた)らざ
りしならはかならす未来(みらい)【ノチ】にいたり此
道理(どうり)を知覚(ちかく)すへし
また爰(こゝ)に書記(しよき)【カキシルス】するは我〻の利益(りやく)を
なすためにあらずして売人(うりにん)ならびに