翻刻
買人(かいにん)に害(かい)を避(さく)る為(ため)なり
わが時計(とけい)の製造(せいさう)に関係(くわんけい)【左ルビ:カヽワル】したる諸(もろ〳〵)の
注意(ちうゐ)に付(つき)ては既(すて)に日本(につほん)に於て十
四ヶ年の経験(けいけん)【左ルビ:コヽロミ】によつて世人これを
知覚(ちかく)する故(ゆへ)に敢(あへ)てこゝに書(しよ)せざ
るなり技術(きしゆつ)の説明(ときあか)しを除(のそ)きたゞ
この教諭(けうゆ)【左ルビ:ヲシヘ】をまつたうするため往古(むかし)
より目今(いま)まての時計職(とけいしよく)に於る歴史(れきし)
上(じやう)におゐて心得(こゝろう)へきすみやかなる考(かんかへ)
を附次(ふし)【左ルビ:つけくわへ】すまた我〻(われ〳〵)か「エシヤツフマン」
といへる時計の器械(きかい)に付て技術上(ぎじゆつじやう)
の一語(いちこ)とまた此器械の善悪(よしあし)ならび
に時計職(とけいしよく)につき日本(につほん)におゐて
我〻(われ〳〵)か注意(ちうい)をし心得(こゝろえ)を示す
〇時計(とけい)の蓋(ふた)鎖(くさ)り飾(かざ)り細工(さいく)もの等(とう)の
製造(せいざう)におゐて用(もち)ひられたる金の品
位《割書:頸飾(くびかざ)り時計の鎖(くさ)りならひに鍵(かぎ)指輪(ゆびわ)|耳輪(みゝわ)肱輪(うでわ)印篭(いんらう)等のたぐひをいふなり》又
むかし定(さた)められたる純金(じゆんきん)の位附(くらゐづけ)の
分別(わかち)といえるものは二十四「カラ」《割書:是は|仏朗(ふらん)》
《割書:西(す)の語(ことば)にてすなはち此 文字(もじ)の意味(いみ)は金の性|質の確実(かくじつ)なる正味(しやうみ)をいふものにして日本に》