翻刻
える薬品(やくひん)をもつてこれに流(なが)しかけ
るといへども石色(いろ)のさらに変(へん)せざる石(いし)
にて「ビチューム」といふ鉱(あらがね)に膏気(あぶらけ)を
含蓄(かんちく)【左ルビ:フクミ】し燃(も)ゆべき性質(せいしつ)【左ルビ:ウマレツキ】をいだける物
にて其すり石なる物の中に微少(すこし)混(ま)
交(じり)なし居(ゐ)て石面(せきめん)微密(こまか)に皺(しは)をあら
はす処の石質(せきしつ)【左ルビ:イシノシヤウ】なりすなはち此のすり
石の表面(ひやうめん)【左ルビ:オモテ】に於て細工(さいく)ものを摩擦(こする)す
れは其|金(きん)の色(いろ)を石面(いしのうへ)に現(あら)はすなり
其あらはれたる金色(きんしよく)の上へ薬名(くすりのな)「アシー
ドアゾチック」九十八分「アシートクロリド
リック」二分|清浄水(きよきみづ)二十五分を混合(ませあはせ)して
この一点滴(ひとしづく)をながす時(とき)は平常(つね)の度(ど)
における十八カラすなはち千分の七
百五十分|混和(こんくわ)したる金位(きんゐ)におゐては
尤(もつ)ともいちじるしく此(こ)の金色(きんしよく)を襲(おそ)は
るゝ事なくして依然(ゐぜん)【左ルビ:ソノマヽ】たるものなり
○この試見(こゝろみ)を簡便(てがる)にたやすくなさん
と欲(ほつ)するには飾(かざ)り細工(さいく)ものに比較(ひきくらべ)する
為に種〻(さま〴〵)の金位(きん)をとりまじへたる「ボタ