翻刻
懐中時計(くわいちうとけい)をはしらなどの釘(くぎ)にかけて置(おく)
ときには「リューズ」輪(わ)ばかりにて釘(くぎ)へかく
べからずかならず懸(かけ)たる下へ台(だい)をおき
かいものをしてよく持(もた)せ置(お)くやうに
保護(ほご)すべしまた時計(とけい)を平(たい)らにおく時は
柔軟(やはらか)なるものゝ|平面(たいらう)なる上に安置(あんち)すへし
即(すなは)ち「ラシヤ」または「ビロード」ようの物(もの)の
上に置く是(これ)をいかゞといふに是等(これら)の用
心をせざれは「テンプ」が時計にわづかの運
動を与(あた)ふるゆえにやはらかなる物(もの)の上に
そつと安置(あんち)すれは更(さら)に時計か変化(へんくわ)
の運動(うんとう)を醸(かも)さず然(しか)せざれは時計|運動(うんとう)の
間(あいた)にいさゝか変化(へんくわ)を誘引(いさな)ふ
時計を合せんとする時|時計(とけい)の針(はり)をは
前(まへ)へまはしてかならずあとへは戻(もと)すへから
ず且(かつ)とりわけて器械(きかい)の中に「ヱシヤツマ
ン」といふものあるゆえに殊更(ことさら)に心
を用ひてあとへ戻(もと)すべからず「コロノメートル」
はたとひ「シリンドル」にて堅固(けんこ)なりといへど
も針(はり)をあとへ戻(もと)すべからず況(ま)してや「アン