翻刻
月十七日|仮堂(かりとう)|成(なり)てもとへすゑ奉
|千歳(せんさい)の|記念(かたみ)|現(けん)におはしますそかし
高倉丸太町では西側|台塀(たいべ)のうち
四畳半一間斗の処に稲荷明神
の|鎮守(ちんじゅ)いまそかりけるか台塀は
|勿論(もちろん)|近隣(きんりん)焼土の中に悠然として
焼残りけるは神徳とやいはん切
とくとやいはんなほ人〳〵信(しん)
を|増(ま)す此外|鎖細(ささい)のことはあるべけれと
そは|牧挙(はいきょ)に|遑(いとま)あらすかくて鎮火の後
|禁闕(ごしょ)より|以南(いなん)洛中を見渡すに東は
か茂川西は堀川を限り焼残りし
土蔵|而巳(のみ)|彳(つく)〳〵(づく)立て|唯(たゞ)|一扁(いつべん)の|野(の)
原(はら)に|似(に)たりしかる故(ゆへ)諸人|旧地(きうち)へ立
|戻(もど)るといふことなく土蔵の持主は
焼残りへ|差掛(さしかけ)いたし家持の