翻刻
皆(みな)一分〳〵の保命(ほうめい)を心掛けだれ一人来り助るものもなけれは山のことき金銀林のことき衣(い)|類(るい)|阜(をか)のことき諸道具も煙(けむり)の助(たすけ)となるのみ所詮(しよせん)は悉打捨(こと〴〵くうちす)て一命を助るの外(ほか)なければ有(あつ)て益(ゑき)なく却(かへつ)て心(し)|思(しん)を煩(わすら)はすの種(たね)ならずや天(てん)明(めい)|度(と)の大火もさることなれとかくのことくなるからこたひの火には金銀珍宝の焼失すること多かるへし此度の事を鑑(かんかみ)てこう来を慎はずんは又のちの人をしてのちの人を慨(いた)ましむべしなほ珍(ちん)|事(し)多しといへとも憚(はゝか)ること多けれは大(おゝ)|概(むね)にして筆(ふて)を閣(さしを)く