翻刻
因に誌す
蘭人(らんしん)【オランダ人】のをしへに西瓜(すいくわ)を冷(ひや)すに
地を掘(ほ)り西瓜を埋(うす)め其上へ
土凡三四寸はかりかふせ上にて
わら莚(むしろ)なとを焚(たき)其土のかわ
く程(ほと)にしてしはし差置(さしをき)
其後堀出す時は実に寒中
に雪氷(ゆきこをり)を嘗(なめ)ることく也此 理(り)を
以(もつ)て此度の大火にを俄(にはか)に地を
掘り大切なるものを埋め速(すみやか)に
焼残りたり今|考(かんか)へるに下屋
穴(あな)蔵を造(つく)るに廻(くる)り石 垣(かき)を
積(つみ)上げ大丈夫の拵(こしらへ)に火の入り
たるも多くあり却(かへつ)て堀 捨(すて)
の儘(まゝ)の下屋にて此難に焼残
るも多(おゝ)くあるは全(まつたく)彼(か)の西瓜