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コレクション: STAGE9

那為の後見艸 全 - 翻刻

那為の後見艸 全 - ページ 10

ページ: 10

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見するに夥しく人の群為て駕籠抔立並へたれは何事 やらんと問ふに接骨療治名倉弥次兵衛か出張所也と云まゝ に立よりて見れハ女乗物十挺斗り其餘の駕籠二十餘挺又 釣台に載たる病人長持に入たる疵に人おひたゝし且あた り近き茶屋及ひ明屋を借りて臥し居ものも甚た多し 往還は行かひならん迄立とへり頓て内方より病人をよ ひ入るゝをきくに第百八十三番と呼はりたり此時また昼九 半時前なるにかく数多の療治人なれは一日の内にハいつ れ三百餘人ハ来るへきや此名倉と云ハ千住に本家あり て江戸内二ヶ所の出張有ときゝつれは三所を合せハ一日 千人位の療治なるへしその餘官医ハさらなり諸侯抱の 外科およひ市中渡世の外科を通して江戸内十町に壱家 と算し又その一家の療治三十人つゝを積りても殆と萬をも て数へきならん地震の災厄ます〳〵恐るへしそれゟ内神 田亀井町弁慶橋柳原土手下過大門通り神田堀浜町堀へか けてハ潰家多く又潰れさるハ家並倒れかゝりて危けれは往 還をも憚らす左右より杉丸太桁木の類もてひかへ杭を 立並へしゆへたやすくゆきもなりかたしもしかゝる時節に 火事あらんにハ火事場掛りの衆なと騎馬ハなるまし又階子 纏の類も持ゆく余地ハあるましきなりそかうへに少し空地