みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE9

那為の後見艸 全 - 翻刻

那為の後見艸 全 - ページ 12

ページ: 12

翻刻

市谷御門入て番町を横きり麹町見坂にかゝり行にその 道すからハ強きゆりもなきやうにて大低己か宅地辺にひと しく覚へたり中山氏新宅いてきし後始てたつねしゆへ ミきみさかな抔出され昼のかれいひ饗せられて暫し話説 のなかにこたひの地震の死をまぬかれしハとく隠居となり しさち也そのゆへハ雉子橋御用屋しき予か居し御長屋 ハ第一番におし潰れて微塵にくたけたれはとてもの かるへきとハおもわれする也かゝれハ命数ありてかく 無事に災厄をのかれし也又忰及ひ孫も危き筋なれ と此頃御鷹の夜すへといふを始りて日暮過ゟ夜半頃迄外 に出てすへまハりかの地震ふるひ出し時ハ未た家に入さりし ゆへまたのかれし也たゝ恨むしくハ一人厄介の同居人有 りしに彼はたま〳〵予か寝間の所に臥ゐて即死したりとい とかなしと語られたりその後栄照院の内話にきけハかの厄 介といふハ栄次郎か次男にて《割書:即善太夫|か孫なり》矢橋金次郎と云者也 御役宅の事なれハ圧死を披露しかたくてその夜中永田 町の隠宅に引取翌朝菩提寺へ葬せしと云猶中山氏を出 虎の御門に掛り葵坂を登り霊南坂通り麻布市兵衛町 をよきり此道すからハ大破の家多く見ゆ六本木長谷川与 三郎か宅を問しにかの辺より西北ハ損所少し立かへり柴