翻刻
すき又北に折て崎川町亀崎町扇子町を過新高橋を渡
りて菊川町にでたるか此道すからの家並大破にて中には潰
れたるも有南辻橋《割書:横川に渡せる橋なり此橋を北辻橋新辻橋を合せて里|俗撞木橋といふこハ時鐘堂近き所なるゆへならん》
以西の竪川の南岸に並へる町を徳右衛門町といふ此町二丁目三丁
目とハ皆焼たり夫より三ッ目橋を渡りて花町と緑町との間に
出しか此竪川の北岸にそひたる町も一ッ目近き相生町より横
川岸まて大低残りなく焼失たり元より此辺おしなへて破
屋多く又潰れしも所々に見へたり扨此日御船蔵通りと二ッ
目通りハ行されどかの辺焼失多く即死怪我人夥しと聞す
れは地震のゆり強き事思ひ合さる又北の方小梅中の郷番
場原庭石原辺より南北割下水及ひ法恩寺橋の東西且入
江町亀沢町通りも総て大破多き事ハ前にしるせし己か
近親《割書:三しま池|田両家也》等の潰れて即死怪我人有しにても推して
知られぬ其委しき事は前二載る江戸大地震細鑑等に見て
おもふへし
十八日牛込山伏町通り寺町へ出赤城明神脇の坂を下りて
改代町石切橋を過き向堀上水にそひて小日向切支丹組屋敷
に入り大塚たんす町通りを横きりて小石川鷹匠町極楽水
御薬園をうち越へ蓮花寺坂を下り白山権現の前に出しか
是迄の道すからハ大破の処も少くおほへたり夫より駒込大観