みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE9

那為の後見艸 全 - 翻刻

那為の後見艸 全 - ページ 5

ページ: 5

翻刻

念仏坂を下り谷町に出しに町家悉く破損して土蔵の 無疵なるハ一も見へす夫よりくらやみ坂といふを登り て寺町をゆくに堂舎皆崩れ中にハ全く潰れしもあり墓 所の石碑なとハおしなへて倒れたりかくて右馬横町に 至れハ左右の家皆大破にて伴野氏の宅も玄関はしめ住 居大かたかたふきしさまなれハ取次のものに口演の尺 書を渡して立さり餘りに夥しき破屋なれハことのあら ましをミんとて四谷の大路に出て御堀端の方へゆくに ぬりこめある大家ハ特に大破し又玉川上水の埋樋《割書:此大|通り》 《割書:多く石にて造り|しさまなり》所々崩れて水吹出し廣くうちくほミて 往来もなしかたき程也最わき御堀に近かりし方ハ地震 の筋強かりしにや潰家おひたゝしく夫より市谷ハ八幡へ 懸り佐内坂を登り尾州御守門の前より北御長屋わき を過しに外つらハさまてのいたミと見へされと内の御長 屋を始め御殿迄も許多大破のことくおもはる此日はまた 板かこひもなく幕のミはられたれハ往還より皆見すきて みへたり亦北御長屋もやゝかたふきしとミへてところ〳〵 長き杉丸太もてひかへの杭を打たり腰瓦ハいふにさらなり 窓下の壁も皆損し屋上の瓦も多おち散たり亦西手の方 なる北の角ハ石垣多分崩れて御長屋も一棟潰れ又見張