翻刻
汝(なんぢ)が心(こゝろ)につけし。間違(まちがひ)学問(がくもん)の疵(きづ)を実(じつ)に
憤発(いきとをり)を起(をこ)し。直(なを)さずんば。身(み)を立(たて)て道(みち)を行(おこな)ふ
事(こと)あたふまじ。人(ひと)の人(ひと)たる学問(がくもん)は。弟子(ていし)入(いつ)ては
孝(かう)を打出(うちいだ)し。出(いで)ては弟(てい)を打出(うちいだ)し。慎(つゝしん)で信(しん)を打(うち)
出(いだ)し。ひろく衆(しう)を愛(あい)して。仁(じん)をうち出(いだ)し。行(かう)余(よ)
力(りよく)あるときは。文(ぶん)を打出(うちで)の小槌(こづち)より外(ほか)には。福(ふく)も。
徳(とく)も。内証(ないしやう)を。打明(うちあか)したる教(をし)へこそ。柳(やなぎ)はみどり。
花(はな)はくれない。人(ひと)は忠信(ちうしん)。孝弟(かうてい)而已(のみ)
忠孝(ちうかう)をはげむ打出(うちで)の小(こ)づちより
よろづのたからわきいづるなり
○若(わか)き男(おとこ)。大黒天(だいこくでん)を礼拝(らいはい)し。小声(こごゑ)になりて申
けるは。私(わたくし)が御願(おねが)ひは。遊女(をやま)や。妓女(げいこ)や。遊狂夫(たいこもち)を
沢山(たくさん)に打出(うちいだ)し給はるべし
○大黒天(だいこくでん)。額(ひたひ)に皺(しわ)をよせて曰(いわく)。我(われ)是(これ)まで。一度(いちど)も