翻刻
かたちとも斧(おの)とも楔(くさひ)とも
なるべしその形(かたち)は定るべ
からずこれ皆(みな)造化(ざうくわ)の一理(いちり)なり
夫(それ)雷といつは万物(ばんもつ)の留滞(とどこほり)を
通し旱(ひでり)に雨を降(ふら)し陽気(やうき)
を行ひ陰(いん)をたすくるものに
して稼穡(かしよく)を救(すく)へる神物なり
若(もし)雷(かみなり)なくんは自(おのづか)ら稼穡 実(み)の
らず蒼民(さうみん)穀(こく)に憂(うれへ)ん又問 左(さ)ほど
に貴(たつと)き雷を何(なに)とて人〱忌(いみ)
おそるゝぞや對(こたへ)て曰(いはく)いかづちは
気血(きけつ)流行(りうかう)のくすりなりしかれ
ども隕(おち)るときは害(がい)をなす
薬(くすり)も疾(やまひ)に応(おう)ぜざるときは
害(がい)をなすがごとし甚(はなはだ)恐(おそ)るゝ
は人の生(うま)れつきにもより