みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

豆州熱海誌 完 - 翻刻

豆州熱海誌 完 - ページ 17

ページ: 17

翻刻

ときは忽(たちま)ち浴熱病(よくねつびやう)《割書:即ち湯|あたり》を発(はつ)し食欲(しょくよく)減損(げんそん)、衰弱(すいじゃく)過度(くわど)、 脈行(みゃくこう)頻数(ひんさく)、皮膚(ひふ)乾燥(かんそう)、発熱(はつねつ)、眩暈(げんうん)等の諸徴(しょてう)を来(きた)し又ブシ ドラシアセルフリスと称(せう)する浴疹(よくしん)を発(はつ)することあ り而して俗説(ぞくせつ)に之を治病(ぢびやう)の効能(こうのう)をあらはすの初徴(しるし) となすもの多(おほ)しと雖(いへ)ども是(こ)れ決(けつ)して然(しか)るに非(あら)ず故(ゆへ) にもし此(かく)の如(ごと)き証徴(せうてう)を認(みと)むるときは且(しば)らく其(その)入浴(にうよく) 或(あるい)は内服(ないふく)の数量(すれう)を減(げん)じ又(また)数日間(すじつかん)全(まつた)く停止(てうじ)すべしと 而して予(よ)との泉(ゆ)に浴(よく)すること数旬(すしゆん)且(か)つ諸(しょ)浴客(よくかく)の経(けい) 験(けん)せし所(ところ)を聞(き)くに十中の八九は皆(みな)この泉(ゆ)に浴(よく)する こと両三日(れうさんじつ)にして飲食(いんしょく)頻(しき)りに進(すゝ)み殊(こと)に渇(かつ)を催(もよ)ふす こと甚(はなは)だしく而して凡(およ)そ一|週間(しやうかん)を過(すく)れば飲食(いんしょく)の量(れう) はしめて本(もと)に復(ふく)し病症(びやうせう)は稍(やゝ)重(おも)きを加(くわ)ふるに似(に)たる 故(ゆへ)に俗説(ぞくせつ)に曰(い)ふ第(だい)一|週間(しゅうかん)に病(たまひ)を出(いだ)し第(だい)二|週間(しやうかん)に病(やまひ) を治(なほ)し第(だい)三|週間(しやうかん)に疲労(つかれ)を補(おぎな)ふと是(これ)また此地(このち)数(す)十百 年来(ねんらい)の経験(けいけん)に係(かゝ)る所(ところ)なれは記(き)して以(もつ)て浴客(よくかく)の参考(さんこう) に供(けう)せざるべからず ○温泉(おんせん)湧出(ゆしゆつ)の来歴(らいれき) 古来(こらい)諸説(しよせつ)紛々(ふん〳〵)して概(おほむね)ね皆(みな)荒(こう) 唐(とう)に属(ぞく)す里俗(りぞく)相伝(あいつた)ふ仁賢天皇(にんけんてんわう)の四年(よねん)蚊島(かしま)穂瓮(ほべ)君(のきみ)罪(つみ) ありて獄死(ごくし)す然(しか)れとも逆鱗(げきりん)なほ未(いま)だ止(や)ます其屍(そのかばね)を 豆州(づしう)熱海(あたみ)の海底(かいてい)に沈(しつ)めしめたまふ此時(このとき)始(はじ)めて此海(このかい)