翻刻
こぶに軽(かろ)くして十度(とたひ)にはこふ小物を一ツに入
て持行(もちゆき)重(かさね)おけば道具も損(そん)ぜずばせきも
とらず十|倍(ばい)の勝手(かつて)也又|土蔵(とぞう)のなき所なら
ばあき地にかさねおき上にぬれ莚(むしろ)を懸(あっけ)て
度〻(たび〳〵)むしろに水をかくれば蔵も同事なり
此|益(えき)のある事を考(かんかへ)てかわこをいくつも紙
にてはりて置|急火(きうくわ)の折又はすゝはらいの
時にも用ひて調法(てうほう)たるべき事なり
一 寺院(じいん)屋敷方の類焼(るいしやう)は只とび火にて焼(やけ)る
事なれば出火の節(せつ)すはやく家ごとに梯(はし)
子(ご)をかけ水ほうきを持て上(あが)り風|上(かみ)の家(いへ)
を第一にふせくべし家やけされば内の
財宝(ざいほう)はおのづから皆(みな)残(のこ)る事なり然(しか)る
に火事といへば家をば皆(みな)焼(やく)物(おの)とおもひ
麁末(そまつ)にして先(まつ)家財(かざい)にとんぢやくする事
おろかなる事也飛(とひ)火のわづかなる時はやく