みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

諸國大地震年代記末代噺種 - 翻刻

諸國大地震年代記末代噺種 - ページ 12

ページ: 12

翻刻

けるが過(あや)またず飛越(とびこへ)たり此時(このとき)うろたへなば三人ともに 溺るへきに女の身として頓智(とんち)気転(きてん)のはたらきは男(おとこ)も 及ぬふるまひなりと感せぬものはなかりけり 宝永四年《割書:嘉永七甲寅?年迄|百四十八年に成る》十月四日 大地震の節長堀成る寺小屋の 師匠山口源兵衛といふ人 先(まづ)二階の 弟子を呼び下さんとする所に棟木 忽碎け落ち弟子らいかでかたま るへき四十四人 童子(とうし)同じ枕(まくら)に死たり 師匠は漸く戸口に出て助りしかつく〳〵 おもひ廻らせは小供は我になつき通ひ 来り其親〱は我にゆたねしものを 救ひ助る事を得ず我獨助りて何面目に人々に貌を合さん とて書置し腹十文字に搔切て自滅す遉流武士の 流なりと褒ものこそなかりけり 【同名の別史料は「褒ぬもの」】 同地震に堂嶋裏町風呂屋へ来合せし 者四人一所に湯に入しに地震起れとも 風呂の中故知らさりしに追々烈しく なりし故四人急に戸を明んとするに 風呂の上に家倒れかゝりしかは戸を明る 事叶はす途方に暮しか此風呂炭火 にて沸せし故追々火起り湯玉飛て 沸返り四人空しく相果たり