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(産科)母子草 3巻 - 翻刻

(産科)母子草 3巻 - ページ 27

ページ: 27

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【右丁】 元(もと)より鳥(とり)獣(けもの)は。腹帯(はらをび)せざれども。却(かへり)て産(さん)すること安(やす) し。いかでか帯(をび)すべき理(り)あらん。ましてわが腹(はら)なる御子(おんこ)は。 双(そう)なき武将(ぶしやう)の御種(おんたね)なれば。腹帯(はらをび)をもて苦(くるし)め奉(たてまつ)るこ とをせんやと。肯(あゑ)て聞入(きゝいれ)たまはず。されど御(おん)なやみもな く。しかも才徳(さいとく)すぐれさせ給ふ若君(わかきみ)御誕生(ごたんしよう)ありしと なん。難有(ありがたく)も世(よ)の人よく〳〵鑑(かゞみ)たてまつるべし。     腹帯(はらをび)の説(せつ) 諺(ことわざ)にひとつの犬(いぬ)かたちに吠(ほゆ)れば。おほくの犬(いぬ)こゑに吠(ほゆ)る といふは。これ万(よろづ)【萬】のこと。始(はじめ)は実(まこと)を見(み)てその通(とふり)をなせども。後(のち)に 【左丁】 は何(なに)のゆへなることをさとらずして。終(つゐ)にはあやまりをつた ふるをいふ。されば懐妊(くわいにん)の婦人(ふじん)。五月(いつゝき)のころより帯(をび)すると て。やはらかなる木綿布(もめんぬの)。あるひは絹(きぬ)をもて腹をまき。 帯(をひ)のいはひといふて。親族(しんぞく)うちより祝(しゆく)する事あり。是(これ)いつ の代(よ)よりはじまりたることゝはしらねども。いひつたへて。神功皇(じんぐうくわう) 后(ごう)三韓(さんかん)を征(せい)し給ふ時(とき)。御妊娠(ごにんしん)にて。御鎧(おんよろひ)のひきあはせあ はざるゆへ。帯(をび)をなさせ給ひ。終(つゐ)にかの国(くに)をしたがへ。御凱陣(ごかいぢん)の後(のち)。 皇子(わうじ)御誕生(ごたんじやう)あらせ給ふ。応神天皇(をうじんてんわう)これ也。その後(のち)はいは た帯(をび)ととなへて。吉例(きつれい)となれりとなん。今(いま)の世(よ)やん事な

現代語訳

【右丁】 もともと鳥や獣は腹帯をしなくても、かえって出産することが安全である。どうして帯をする理由があろうか。ましてわが腹にいる御子は、比類なき武将の御子種であるから、腹帯をもって苦しめ申し上げることをするだろうかと、決して聞き入れなさらなかった。それでもお苦しみもなく、しかも才徳に優れていらっしゃる若君の御誕生があったということである。ありがたくも世の人はよくよく手本とし申し上げるべきである。     腹帯の説 諺に「一匹の犬が形を見て吠えると、多くの犬が声に反応して吠える」というのは、これはあらゆることで、始めは実際を見てその通りにするけれども、後に 【左丁】 は何の理由があることか理解せずに、ついには間違いを伝えることを言う。そこで妊娠した婦人が、五か月頃から帯をするといって、やわらかな木綿布、あるいは絹をもって腹を巻き、帯の祝いといって、親族一同で祝うことがある。これはいつの時代から始まったことかは知らないが、言い伝えでは、神功皇后が三韓を征伐なさった時、御妊娠中で、御鎧の引き合わせが合わないため、帯をなさり、ついにかの国を従え、御凱旋の後、皇子の御誕生があらせられた。応神天皇これである。その後は岩田帯と唱えて、吉例となったということである。今の世で高貴な

英語訳

【Right page】 Originally, birds and beasts do not wear belly bands, yet they give birth safely. How could there be any reason to wear a sash? Moreover, the child in my womb is the offspring of an incomparable military commander, so why would I cause suffering with a belly band? She absolutely refused to listen. Yet without any suffering, a young lord of excellent talent and virtue was born. How grateful - people of the world should truly take this as an example to follow.     On the Theory of Belly Bands There is a proverb that says "when one dog barks at a shape, many dogs bark at the sound." This applies to all things - at first people act based on what they actually see, but later 【Left page】 they no longer understand the reason behind it, and eventually they pass on mistakes. Thus pregnant women, from around the fifth month, wear sashes, wrapping their bellies with soft cotton cloth or silk, calling it "the celebration of the sash," with relatives gathering to celebrate. I do not know from what era this practice began, but according to tradition, when Empress Jingū was conquering the Three Kingdoms of Korea, she was pregnant and her armor did not fit properly, so she wore a sash. She eventually conquered those countries, and after her triumphant return, a prince was born - this was Emperor Ōjin. Afterward, this was called the "iwata-obi" (rock-field sash) and became an auspicious custom. In today's world, noble