翻刻!江戸の医療と養生

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(産科)母子草 3巻 - 翻刻

(産科)母子草 3巻 - ページ 76

ページ: 76

翻刻

【右丁】    血暈(めまひ)には。すべて左(さ)の加味の方(はう)をよしとす   △生化湯(せいくわたう)に。《割書:中巻に出す》荊芥穂(けいがいのほ)の炒(いり)たるを二分 加(くわ)へて宜(よろ)し。    産後(さんご)の病(やまひ)は。すべて悪露(あくろ)の多少(たせう)をとふを肝要(かんよう)とす。    ○悪露(あくろ)くだること少(すくな)く。血(ち)のぼり気(き)ふさぎて血暈(めまひ)発(をこ)るは。    上(かみ)の方(はう)に又 牡丹皮(ぼたんひ)二分 紅花(こうくわ)一分を加(くは)ふべし    ○悪露(あくろ)くだること多(おほ)くして。血(ち)おとろへ気(き)のぼりて発(をこ)るは。    牡丹皮(ぼたんひ)紅花(こうくわ)を去(さり)。人参(にんじん)三分 黄茋(わうぎ)三分を加(くわ)ふべし。すべて    鎮神散(ちんしんさん)おり〳〵用ゆべし    ○人参(にんじん)を択(ゑらぶ)こと。常(つね)に心得あるべし。第一 朝鮮(ちようせん)の産(さん)を上(じやう) 【左丁】    品(ひん)とす。横(よこ)にほそき紋(もん)ありて。堅(かた)く実(じつ)し。潤(うるほひ)ありて色(いろ)黄(き)    に。味(あじは)ひ甘(あま)くして微(すこし)苦(にが)みあるものを良(よし)とす。肉折(にくおれ)人参(にんじん)。鬚(ひげ)    人参(にんじん)。小(こ)人参などいふものあり。偽(いつは)りつくれるもの多し。誤(あやま)り    用ゆることなかれ。幸(さいはい)に御種人参(おたねにんじん)あり。是は朝鮮種(ちようせんたね)を移(うつ)し    植(うゑ)しものなれば。真(しん)の人参に紛(まぎれ)なし。すべて是を用ゆべし。    又 広東(かんとう)人参と称(せう)するものあり。気味(きみ)は人参に似(に)たれど    も。是は三七(さんしち)といふ物(もの)にて実(まこと)は人参にあらず。されど婦(ふ)    人(じん)の血症(けつしやう)を治(ぢ)するは。三七(さんしち)に比(ならぶ)ものなしと。張受孔(ちやうじゆこう)が医(ゐ)    便(べん)に載(のせ)たり。予(よ)もひたすら試(こゝろむ)るに。産後(さんご)の虚症(きよしやう)には。

現代語訳

【右丁】 血暈には、すべて以下の加味の処方を良いとする。 △生化湯に《割書:中巻に出す》荊芥穂の炒ったものを二分加えると良い。 産後の病気は、すべて悪露の多少を問うことを肝要とする。 ○悪露が下ることが少なく、血が上り気が塞がって血暈が発するのは、 上の処方にまた牡丹皮二分、紅花一分を加えるべきである。 ○悪露が下ることが多くて、血が衰え気が上って発するのは、 牡丹皮、紅花を除き、人参三分、黄耆三分を加えるべきである。すべて 鎮神散を時々用いるべきである。 ○人参を選ぶことは、常に心得があるべきである。第一、朝鮮産を上 【左丁】 品とする。横に細い紋があって、堅く充実し、潤いがあって色が黄色く、 味は甘くて微かに苦味があるものを良いとする。肉折人参、鬚 人参、小人参などというものがある。偽って作られたものが多い。誤って 用いることがないように。幸いに御種人参がある。これは朝鮮種を移し 植えたものなので、真の人参に間違いない。すべてこれを用いるべきである。 また広東人参と称するものがある。気味は人参に似ているけれど も、これは三七というもので実は人参ではない。しかし婦 人の血症を治すのは、三七に並ぶものはないと、張受孔の医 便に載せてある。私もひたすら試してみると、産後の虚症には、

英語訳

【Right page】 For blood dizziness, the following modified prescriptions are generally considered good. △To Seikatō (Shenghua Tang) {{Note: appears in the middle volume}}, add two bu of roasted Keigai-no-ho (Schizonepeta spike). For postpartum diseases, it is essential to always inquire about the amount of lochia. ○When lochia discharge is scanty, blood rises and qi is blocked causing blood dizziness, add two bu of moutan bark and one bu of safflower to the above prescription. ○When lochia discharge is excessive, blood is depleted and qi rises causing onset, remove moutan bark and safflower, and add three bu each of ginseng and astragalus. Always use Chinshinsān (Tranquilizing Spirit Powder) from time to time. ○Selecting ginseng should always be done with proper knowledge. First, Korean-produced is considered top 【Left page】 grade. Those with fine horizontal striations, firm and substantial, with moisture and yellow color, sweet taste with slight bitterness are considered good. There are types called niku-ore ginseng, hige (whisker) ginseng, and small ginseng. Many are counterfeit products. Do not use them mistakenly. Fortunately, there is Otane ginseng. Since this is transplanted from Korean varieties, it is unmistakably true ginseng. This should be used exclusively. Also, there is something called Guangdong ginseng. Though its properties resemble ginseng, this is something called sanqi and is actually not ginseng. However, for treating women's blood conditions, nothing compares to sanqi, as recorded in Zhang Shoukong's Yi Bian. When I earnestly tried it myself, for postpartum deficiency conditions,