翻刻
にて小児の腰をとらへ。腰骨へかけて歩むなり。
《割書:女市の図にて|見るべし》定西法師伝に云。琉球は弁才天の嶌
なりとて。男子より女を敬ふとなり。
〇嚏を好む
琉球人は寿命の薬なりとて。嚏(くつさめ)する事を好む。
客に対する間も。紙條(かうより)を鼻孔(はなのあな)へ入てくつさめ
を為と。薩州の人の語りき。
〇奇舞
王宮にて奇舞を興行する時は。五六丈四
方の舞台を造り。四方に幕を張り。楽人は
紅衣(くれなゐのきぬ)緑衣(みどりのきぬ)を着し。夫〳〵の巾(きん)を戴(いたゞ)き。蛇の
皮にて張たる三弦。提琴。笛。小鑼(こどら)。鼓(つゞみ)などを持て。
二行(ふたがは)にならび。ゆるやかに楽譜を歌へば。暫く有
て。階(はし)懸りの幔(まく)を褰(かゝ)げ。舞人出るなり。
〇小童四人。朱き襪(したうづ)を履(はき)。五色の長き衣を襠(うちかけ)に
し。頭に黒皮にて作りたる笠に。朱綏(あかきひも)の付たる
を戴き。廻(まひ)旋(やがら)場(ぶたい)に登り。楽人(がくにん)の方へ向ひて座す。
楽人(かくにん)其笠をとり。朱綏(あかひも)を笠の上へ捲(まき)つけて
あたふれば。童子うけ取て立上り足拍子を曲節
に合せて舞ふ。此を笠舞と名付く。