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是に撃劔(けんじゆい)を教(をし)へ.小腕(こうて)ならこと其業におい
ては.大人にもおとらぬ程に仕立ける.此折柄は
母に従ひて.山南の査国吉といへる.親属(しんるい)の方
に在けるが.父毛公.阿公が讒言(ざんげん)に依て.討手
を引受.無念の死を遂(とげ)たると聞.天に仰ぎ.地
に伏て涕泣(ていきう)せしが.涙を払いて母に請(こひ)けるは.
父上の最期は.今更歎きて返らぬ儀なれば・われ
〳〵兄弟面を見知られぬを幸に.忍びより
て阿公を討取.父の仇(あた)を復(ふく)せんと存ずるなり.
願くは父上の秘 蔵(さう)ありし二振の宝釼を賜
はらんと。忍ひ込て願ふにぞ。母は憂(うれひ)も打忘れ。
かなげにもまうしつる兄弟かな。いて〳〵望の
如く。二振の釼をあたふべしとて。とり取出して
分ち与(あた)ふ。兄弟勇んて暇(いとま)を乞。父の紀(かたみ)の
宝釼を帯しつゝ。身をやつして勝連(かつれん)に至り。
父の仇そねらひける。■も阿公は。日頃心憎か
りし。毛公を■ひければ。今は誰にも憚らず。春
の野つらを詠めんと。従者(しうしや)を引連出けるを。兄
弟早くも聞出し。宝釼を懐(ふところ)にし。透間(すきま)も
あらばと伺ひける。阿公は二人の小童を毛公か