琉球・沖縄の世界を翻刻する

コレクション: 琉球大学所蔵 琉球・沖縄関係資料 vol. 1

琉球談 - 翻刻

琉球談 - ページ 35

ページ: 35

翻刻

是に撃劔(けんじゆい)を教(をし)へ.小腕(こうて)ならこと其業におい ては.大人にもおとらぬ程に仕立ける.此折柄は 母に従ひて.山南の査国吉といへる.親属(しんるい)の方 に在けるが.父毛公.阿公が讒言(ざんげん)に依て.討手 を引受.無念の死を遂(とげ)たると聞.天に仰ぎ.地 に伏て涕泣(ていきう)せしが.涙を払いて母に請(こひ)けるは. 父上の最期は.今更歎きて返らぬ儀なれば・われ 〳〵兄弟面を見知られぬを幸に.忍びより て阿公を討取.父の仇(あた)を復(ふく)せんと存ずるなり. 願くは父上の秘 蔵(さう)ありし二振の宝釼を賜 はらんと。忍ひ込て願ふにぞ。母は憂(うれひ)も打忘れ。 かなげにもまうしつる兄弟かな。いて〳〵望の 如く。二振の釼をあたふべしとて。とり取出して 分ち与(あた)ふ。兄弟勇んて暇(いとま)を乞。父の紀(かたみ)の 宝釼を帯しつゝ。身をやつして勝連(かつれん)に至り。 父の仇そねらひける。■も阿公は。日頃心憎か りし。毛公を■ひければ。今は誰にも憚らず。春 の野つらを詠めんと。従者(しうしや)を引連出けるを。兄 弟早くも聞出し。宝釼を懐(ふところ)にし。透間(すきま)も あらばと伺ひける。阿公は二人の小童を毛公か