翻刻
世の中の習ひ.いつもかこざらめ.残る人ないため
まちのぐれ.
又娼妓(たわれめ)の唱ふ歌あり.
いとやなぎ.こゝろくにあらしやば.のよてはろ
もの.かぜにてりよか.
此唱哥は.徠翁も意得られたりしにや.註を
ほどこされず.
〇神祇
琉球事略に云.慶長年中.本朝の僧.彼国に
ありて.其風土の事を記せし書を案るに.此
国のはしめ.一め男一め女 化生(くはせい)す.其男をシネリキ
ユといひ其女をアマミキユといふ.《割書:中良案るに.アマミキユは|中山世鑑にいふ.阿摩美》
《割書:久なり.此説上に記せる開闢の條と異同あり.|あはせ考ゆべし.是非は薩人に正すべし.》此時其嶋小にして.
波に漂(たゞよ)へり.タシカといふ木の生し出しを植て.山の
体(たい)とく.シキユといふ草をうゑ.またアダンといふ木を
植て.国の体となし.遂に三子を生ず.一子は所々の
主(あるじ)の始なり.二子は祝(はふり)の始なり.三子は土民の始なり
其国に火なかりしに.龍宮より求得て.其国成就し.
人物を生して.守護の神あらはる.これをキンマ
モンと称す.《割書:中良案るに.キンマモンは諸書に君真物(クンシンモツ)と記せる是なり.キミ|マモノ.の字訓をキンマ.モンとよむなり.イキシチニヒミイリイを》