翻刻
《割書:訓に読時は文(フン)箱(ハコ)公達(キンタチ)■と■ゆる事.和訓の訓なり|と■■いへる如く.琉球は.日本の古語まゝのこれり.》其神に陰陽あり.
天より下るを.キライカナイノ.キンマモンといひ.海
より上るを.オホツカクラクノ.キンマモンといふ.毎月(つきごと)に
出現して.託女(たくじよ)に託して.《割書:中良案るに.託女は巫女の如く.|神に仕ゆるものと見ゆ.》所々
の拝林(おがみばやし)にあそふ.《割書:中良案るに.拝林とはいかなるものなるや.社はか■■て|森の内にたつるものなるからに.宮地の料に標おく.》
《割書:体のかたか.猶|尋ぬべし.》其託女三十三人は皆 王家(わうのすぢめ)なり.王妃
も亦其一チ人なり.国中の託女は其数をしらず
其神もし怒る時は.国人腕折(うでおり).爪折(つまおり)して迷を
拝慰(おかみなくさ)む.《割書:中良案るに.是日本神代の.|祓の遺風を伝へたるなり.》其俗にて.嶽々浦々
の大石大樹.こと〳〵く皆神にあがめ祭る.又
七年に一回(ひとたひ)の荒神(あらかみ).十二年の荒神(あらかみ)ありて.遠国諸
島一時に出現す.荒神の出現を。キミテスリと
いふ.その出つべき前に.其年の八九月の間に
アラリといふものあらはる.其山をアラリ嶽と
いふ.五色あざやかにして.種〳〵の荘厳(しやうごん)あり
て.三つの嶽に三本あらはる。其大さ一山をおほ
い尽す.其十月に至りて.神かならず出つ.
託女.王臣.各 鼓(つゞみ)うち歌うたひて神をむかふ.王
宮の庭を以て.神の至る所とし.傘三十余
をたつ.其傘の大なる事.高さ七八丈.その輪